独り占めしても、いいですか?
「ていうか、曲名ないとかもったいなくない?

なんでつけてないわけ?」



朱莉が空気を変えるように明るい声を出す。



私もシェリーちゃんも、その明るい空気に乗っかることにした。



「なんでって言われても…

思いつかなくて…?」



考えてみれば、確かに…なんで曲名がないんだろう。



小さい頃の私に、曲名をつけるっていう発想がなかったからかな…?



「えっと…ちょっとよろしいかしら?

私、日和の過ごしてきた時間軸を把握できていないのですけれど…

颯斗様とは従兄弟ですから生まれた時からの知り合いでしょうけど、一緒に過ごしていたのは日和が何才の頃ですの?

それに、日和の幼なじみの皆様とは、いつ頃出会われたのかしら?」



確かに、朱莉にもシェリーちゃんにもちゃんとした話はしたことないかも…?



順を追って話した方がわかりやすい…かな。



「えっと、みんなと出会ったのは…4歳だよ。

私は生まれた頃から颯斗兄いに付きまとってて…

それで、毎日一緒にいろんな教養を受けて、パーティなんかにもよく行ってた。

シェリーちゃんとはそこで出会ったよね。

私が4歳の時…颯斗兄いがイギリスに留学したから私には遊び相手がいなくなっちゃって…

だから私は幼稚園に入園したの。

みんなとは、そこで出会ったんだよっ」



みんなと仲良くなるまでの詳しい話は…しない方がいいと思った。



せっかくの楽しい時間が、台無しになる気がして…


< 418 / 721 >

この作品をシェア

pagetop