独り占めしても、いいですか?
「1年10組、一ノ瀬 凛君!」



「キャーーー!」



名前を呼ばれた瞬間、自分のことじゃないのに心が晴れ渡った。



凛が優勝…!



「2位の天沢君とは1票差でした!

なんという接戦!

3位の西原君とも10票差で、なんとも甲乙つけがたいものが見れましたねー!」



1票差…



もし私が凛に票を入れなかったら同数だったんだ…



それに3位のあの人も…



凛や透に10票差で追いつくなんて…



本当に一般人…?



っていうか、名前…西原って…まさか…



いやいや、そんなわけないよね…



チラッと目を向けると、3位の人はマイクに向かって



「いや〜、残念だったな〜。

でも楽しかったですね」



と、のほほん顔でニコニコしながら話している。



ゆるゆるな感じで、どこか守ってあげたくなるような…



凛に預けたらいっぱい世話焼きそう…



「優勝した一ノ瀬君、一言!」



「応援してくれたみんな!サンキュー!」



凛は満面の笑みで、さっきまでの涙は綺麗さっぱり消えている。



切り替えはやっ…



「とりあえず、日和の横に並ぶのが俺でよかった!」



そう言って私の方にVサインを向ける。



…う、嬉しいけど、後ろにいる透の視線が怖い…


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