独り占めしても、いいですか?
♡♡♡



「ちょっと日和、押さないでよ!」



「ご、ごめんねっ」



屋上。



朱莉と2人、物陰に身を潜めながらシェリーちゃんを見つめる。



不安そうな顔をするシェリーちゃんとバチッと目が合った。



両手を胸の前で握りしめて、フルフルと首を振っている。



そんなシェリーちゃんに、朱莉が『頑張れ』というようにガッツポーズ。



私もそれを真似した。



コクッと頷いて、身体の力を抜くように深呼吸をしたシェリーちゃんは、何事も無かったかのように、しっかりとした姿勢で遠くを見つめた。



頑張れ、シェリーちゃん…!



私が屋上を貸し切りにした理由。



それは、シェリーちゃんがイギリスに戻っちゃう前に、直生君とのことをスッキリさせてあげたかったから。



今日の夜に日本を飛び立つシェリーちゃん。



次はいつ日本に来て直生君に会えるかわからない。



最後は2人の時間を過ごして欲しいっていうのもあるけど…



できれば、シェリーちゃんの不安の種を除いてあげたいっていうのが1番の目的だった。



今この屋上にいるのは私と朱莉とシェリーちゃんだけ。



そして、おそらく今シェリーちゃんに呼び出された直生君がこっちに向かって来てる。



もちろん、私達のことは内緒でね。


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