独り占めしても、いいですか?
「ごめんなっさい。

今まで、勝手な…契約で、縛り付けてしまって…

きっと、お爺様にお願いすれば…」



「んで…なんでそんな話になんだよ!」



直生君の大きな声でシェリーちゃんがビクッとした。



「……俺が嫌いになったならそう言え。

別に引き止めたり女々しいことはしねー…」



「違いますわ!」



今度はシェリーちゃんが大きな声を出す。



「わ、私は…そ、その…

直生のこと…す、好き…ですから」



「すすき?」



「違います!

……その…大好きと言っているのですわ!」



シェリーちゃんは自分でそう言ってから顔を赤くした。



「じゃあいいじゃねーか」



照れながらもホッとした表情を見せる直生君。



本当、シェリーちゃんにべた褒めなのが丸わかり…



「でも…直生は…その、私のこと…」



「なんだよ」



「好きではない、のでしょう?」



「は?」



「だ、だって…

私、直生の口から、まだ一度も…その、『好き』という言葉を聞いたことがありませんもの」



それを聞いた直生君は一瞬固まったように見えた。



シェリーちゃんは少し期待するように、でも半分諦めたような顔でチラッと直生君を見た。



「俺は…別に…

好きじゃねーとは言ってねえだろ」



直生君の声が小さくなっていく。



直生君はきっと『言わなくてもわかるだろ』タイプなんだろうな…


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