独り占めしても、いいですか?
「まぁ、そうだな。

やっぱ日和には勝てねーよ」



バレンタインは本来女子から男子に渡すイベントのはずなんだけど…



なんでか女子の日和が朝から貰いっぱなし。



女子からも男子からも貰って、見るからに1000個くらいいってそう。



「こんなに食べたら日和鼻血出しそう」



私だったら絶対捨てる。



「心配ねぇよ。

男からのチョコは全部俺が食ってやる」



凛がムスッとした顔でチョコの山を睨んだ。



「そんなことしたら次の日から日和、口聞いてくれないと思うけど。

日和、チョコ大好物だし」



「………」



私もこいつらの扱いには慣れた。



『日和に言う』とか『日和だったら…』とか言うとすぐに黙る。



ほんと、日和大好き過ぎ。



頭の中8割日和のことで埋め尽くされてるような奴らだからな…



日和が死んだら4人とも心中しそう。



「…日和が遅い」



今度は透がムスッとしてドアの方に目をやった。



そう。



日和は今私達と一緒にはいない。



昼休みが始まった途端他クラス他学年の男女に呼び出された。



バリケードの外に出てしまった一瞬の隙に。



一度出てしまえばあとは手の出しようがない。



次から次にチョコが舞い込んで来て…



多分今頃手に持ちきれないくらいのチョコを抱えてるはず。


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