独り占めしても、いいですか?
「えっと〜…ひ…ひよ……?」



「日和だよっ!」



「あっ、そうだった、えへへ、ごめんなさ〜い」



そう言いながら頭をかく仕草がまたかわいい。



なんだろう…『名前覚えてよっ!』って言ってもいいはずなのに、むしろ癒される…



天然恐ろしい。



「日和さんは?

好きなこととか、無いんですか?」



好きなこと…



強いて言えば…



「歌…?かな?

あっ、えっと、歌手になろうとか、そういうわけじゃないんだけどねっ⁉︎

歌を歌うのは、好きかなぁって…

えっと、その、ホントに、好きなだけで自信があるとかじゃないから!」



少し顔が赤くなった。



「…?何慌ててるの?

歌、いいと思いますよ?

この間の文化祭、すごかったもん」



ニコッと笑った顔がまた私のツボ。



「なんか、…うーん、俺上手く言えないけど…

惹きつけられる感じ…?って言うのかな?」



褒めてくれるのは嬉しいんだけど…



な、なんだか恥ずかしい…



「えっと…なんていうか…その…

風、吹いてた」



「えっ…?」



言いたかったワードが出てきて、満足そうに笑う翼君。



『風が吹いてた』って…どういうことだろう。



歌詞にもそんな意味は入ってないし…



やっぱり翼君の言葉はよくわかんないや。


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