独り占めしても、いいですか?
「……まだ…もうちょっと…」



翼君が何かブツブツと独り言を言い始めた。



何かに集中しているみたいで、私達の方なんて見向きもしない。



ただひたすらに、目を瞑って、下を向いて、何かに集中していた。



すごく真剣なのに、なんだか楽しそう。



ワクワクしてるみたい。



さっきまでの雰囲気とは全く別の雰囲気。



見てるだけで、呼吸が止まって、身体が吸い込まれそう。



カッコいい…



これが、選手としての翼君…



「あと少し…我慢…我慢…」



相変わらず何を言ってるのかはよくわからないけど…



『息をしちゃいけない』そう感じさせる空気だった。



「…………きた!」



ビュンッ!!!



・・・・・。



え?


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