独り占めしても、いいですか?
「前、ちゃんと隠せよ」



顔を赤くした凛に言われてハッと気がつく。



私が上半身下着姿だったことに。



「変態っ!」



そう叫んでジャケットを力いっぱい握りしめた。



完全に忘れてたけど、これは、つまり、みんなにも見られたよね…⁉︎



もうやだ、恥ずかし過ぎる!



私のバカ!



3分前の私死んじゃえ!



「へ、変態はねーだろ!

不可抗力だ!

それに水着姿とそんなに…」



「変わるよ!」



とは言いつつ、凛がジャケットを貸してくれたことには感謝していた。



ジャケット1枚だけど、2月の空の下でほぼ裸状態でいた私にとってはコートを着た気分。



凛の温もりが残っているのを感じて、心まで温かくなった気がした。


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