独り占めしても、いいですか?
「……だから?」



私はまっすぐ凛の目を見た。



「だから、私とは付き合えないってこと?」



『そんなの認めない』



それが私の気持ちだった。



「…付き合う資格、ねえよ」



「気持ちがあれば、そんなの関係ないんじゃなかったの?」



私は凛の手を握った。



私の気持ちが伝わるように。



『大好き』って、伝わるように。



「それとこれとは…事の重大さが違ぇよ」



スルッと凛の手が、私の手の間を抜け出してしまう。



「私にとっては、そんなの些細なことでしかないよ?」



嘘じゃなかった。



本気で、私にとっては小さなことでしかなかった。



衝撃は受けたけど、実際どうでも良かった。



それは凛を好きになった、今の私だからじゃない。



小さい頃の私がその事実を知ってたとしても、同じだったと思う。



私は、凛を好きになってた。


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