独り占めしても、いいですか?
ガラガラ…



・・・・・。



ドアを開けて外へ出た瞬間、一瞬の沈黙が訪れる。



そして…



「キャーーー!」



「ウォーーー!」



鼓膜が震えるほどの大歓声があがった。



「ひよ姫様だ!」



「ちょー美人じゃん!」



「やっべー」



あちこちでそんな声が聞こえる。



あ、またこの展開…



私、嫌なのに…



注目なんて、されたくないのに…



学校では携帯が禁止されてるから、堂々と写真を撮る人がいないのがせめてもの救い。



けど、やっぱり注目されるのは好きじゃない。



あ…ちょっと頭がクラクラしてきた…



これ以上酷くなりませんように…



「うわー、さすがひよ姫。

すごい人気だねー」



「まっ、でも秀也君のクラスって9組じゃん?

隣だし、9組にさっさと逃げちゃえば大丈夫大丈夫!」



そ、そうだよね…



秀ちゃんに会えばハグしてもらえるし…そしたら頑張れるよね。



元気出るよね。



早く9組の中に入っちゃえば問題ないはず…



そう思って9組のドアへ急ぎ、手をかけた。


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