独り占めしても、いいですか?
「電話したら、幼稚園のこと聞かせてよ。

俺もイギリスのこと話すから」



「うん…」



『幼稚園』



その言葉はあまり好きじゃなかった。



どんなところか知らないわけじゃないけど、行ったことはないから、不安。



「幼稚園は、お勉強するところ…なんだよね?」



「うん、しかもひよが行くところは一流だから、新しいこといっぱい知れるよ」



「でも、私は年中さんからスタートでしょ?

年少さんからいる子達に、ついていけるかな?」



私の不安はこれ。



一流に通ってるって言ったら聞こえはいいけど、落ちこぼれだったら全然意味ない。



私はお勉強って言っても、颯斗にーのレッスンにつきまとっていただけだし…



年少さんからお勉強している子達がどのくらいすごいのかよくわからない。



私が知らなかった国際電話だって、すでに知ってて、電話かけまくりかもしれない。



「大丈夫だよ、ひよなら」



それが本心なのか、ただの勇気付けなのか、今の私には見分ける力がない。



だから、信じるしかない。



大丈夫。



きっと。


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