独り占めしても、いいですか?
「颯斗にーは、王子様みたいだねっ」



困った時は助けてくれる。



不安があれば消してくれる。



いつもそばにいて、いつも私を見てくれてる。



顔もイケメンだし、お金持ちだし…



「じゃあひよはお姫様だな」



そう言った瞬間、自分が本当にお姫様みたいな錯覚が起きた。



自分の瞳の奥が輝いた気がした。



「うんっ!

私、将来は王子様と結婚するの。

だから立派なお姫様になるっ」



ピンクのワンピースの裾を掴んで、お姫様みたいにお辞儀して見せた。



「それ…俺と結婚したいってこと?」



なぜか少し顔を赤くする颯斗にー。



私のお辞儀、そんなにお姫様みたいだったかな?



「うーん…わかんない!

だって王子様いっぱいいるもん。

お姫様もいっぱいいるもん。

だから、運命の王子様が迎えに来てくれた時に、立派なお姫様でいなくちゃお嫁に行けないの」



『女の子は誰もがお姫様』



みたいな言葉を聞いたことがある。



だったら、男の子だってみんな王子様。



誰と誰が結ばれるかなんて、そんなのわかんない。



私には私の王子様が。



颯斗にーには颯斗にーのお姫様がいる。



私の王子様が颯斗にーだったらいいのに…とは思うけど。


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