独り占めしても、いいですか?
握手を終えて、秀ちゃんの手が空く。



「秀ちゃ…」



「秀也くーん!」



私の声と同時に、クラスの子が秀ちゃんのことを呼んだ。



私も…お願いが…



「はーい、ちょっと待ってね〜。

どうしたの?日和」



秀ちゃんが私の目線に合わせて屈んでくれる。



「…ううん、なんでもないの。

……早く行ってあげて?」



こんな状況じゃワガママなんて言えないもん…



「…本当に?

本当に大丈夫?」



心配そうに訪ねてくれた。



けど…



「うんっ、大丈夫だよっ…!」



こういうしかなかった。



きっと秀ちゃんは、私がお願いしたら少しくらい…ううん、充分過ぎるくらいハグしてくれる。



けどそんなの、ずっと待ってるファンの子達に悪いよね。



無理言って、沙希ちゃんと菜々子ちゃんを優先してもらったんだもん。



これ以上ワガママ言えないや…



後少し…後少しだけ耐えなくちゃ…


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