独り占めしても、いいですか?
「んじゃ、次は透君の6組!」



秀ちゃんが教室に戻ると、沙希ちゃんと菜々子ちゃんが先頭を切って6組の方へ歩き出した。



私は朱莉ちゃんと一緒にその後をついていく。



一歩一歩がすごく重く感じた。



みんなの視線1つ1つが鉛のようにのしかかる。



「……っ、はぁ…はぁ…」



思わず息が乱れる。



なにこれ…苦しい…



2人とも…ちょっと待って…



体調の悪さのせいで、普段の歩くペースが異常に苦しく感じる。



「あ、あの人すごく美人〜」



「うっそ、知らないの?

あれ噂のひよ姫だよー?」



追い討ちをかけるように周りの視線が突き刺さる。



うっ…本格的に頭が痛い。



吐き気もするし…



「え⁉︎…ちょっと、ねぇ!大丈夫⁉︎」



朱莉が私の様子をみて、焦ったように声を荒げた。



「……へっ⁉︎

うん…えへへっ、だい、じょう…ぶ…」



そこまで言って、私の目の前がぐにゃっと曲がった。



あれ…急にどうしたんだろう…



なんだか視界がぼやけて…



体が…うまく動かない…



バタッ



遠ざかる意識の中で、自分が倒れたってことだけは理解できた。



ああ…また凛達に迷惑かけちゃうな…



って思いながらも、どうしても体が起き上がらない。



「ねぇ!大丈夫⁉︎

日和!…日和!」



朱莉ちゃんの声が聞こえる…



朱莉ちゃんにも心配かけちゃった…



こんな友達…もう、嫌かな…?



けど、こんな時まで嬉しいって感じちゃう。



へへっ…



だって、朱莉ちゃんの口から『日和』って言葉が聞けたんだもん…


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