独り占めしても、いいですか?
♡♡♡



「うっ……」



ここは…どこ…?



「日和!大丈夫か⁉︎」



あ…凛の声だ…



ゆっくりとまぶたを開けると、電気の光が目に入ってきた。



横にいる凛に視線を移して、



「大丈夫だよ」



って言ったけど、凛の心配そうな表情は変わらない。



確か…私、倒れちゃったんだよね…



それから意識がなくなって…



その後のことはよくわからないけど、凛が運んでくれたのかな…?



私はゆっくりと体を起こして、凛の頭を優しく撫でた。



「心配かけてごめんね。

もう大丈夫だよ。

ありがとっ…!」



そう言うと、凛がなんとも言えない顔をした。



少女漫画のヒロインが、好きな男子の言動に、胸がキューンッって締め付けられた時の顔…



みたいな感じ。



ガバッ!



「…へっ⁉︎

り、凛?どうしたの?」



凛が急に抱きしめてきた。



それも、いつもとは違う抱きしめ方。



痛くはないけど、いつもより力強い。



「よかった…まじで。

ほんと、無理すんなよ…

俺、日和がいなくなったら…」



それを聞いて、胸があったかくなる。



『大丈夫だよ。私はいなくならないよ』って伝わるように、私もギュッて抱きしめ返した。



胸がドキドキする。



ありがとうっていう気持ち。



心配かけてごめんねっていう気持ち。



凛大好きだよっていう気持ち。



でも、それとは別に、胸がドキドキする。


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