独り占めしても、いいですか?
「…あれ?透は?」



凛と少し話している間に透が見当たらなくなった。



キョロキョロと辺りを見渡すと、列の最後尾でしゃがみこんでいる。



具合でも悪いのかな…?



タッタッタッと駆け寄って、私も透と一緒にしゃがみこんだ。



「透、お腹でも痛いの…って、アリ?」



「………」



透が見つめていたのはアリの行列だった。



ただじっと見つめてる。



「おもしろい?」



「べつに。

こんなに小さくても生きているんだな、と思って」



「そうだね」



透の考えてることを理解するのって難しい。



「透、列から離れちゃう。行こ?」



「ああ」



特に執着はないんだ…



「あっ…」



今度は蝶々を見つけて、引きつけられるように手を伸ばして追って行く。



目に入ったもの、興味を持ったものに無我夢中って感じ。



透も凛と一緒で私のことなんて目に入ってない。



いつも一緒に行動してるのに…



遠足おそるべし。


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