独り占めしても、いいですか?
「……こうなるからやめとけって言ったんだ。

俺は…」



凛が頭を撫でてくれながらそう言った。



「………友達作りのこと?」



今の言葉だけで、意味が伝わるあたり、私もろくに幼なじみやってないなって思う。



「無理して作ることねーだろ。

俺達だけじゃダメなのかよ」



なんとなく…凛、悔しそう…?



「…ふふっ、とか言いながら、私がやりたいって言ったら応援してくれるんでしょ?」



「…………」



知ってる。



だって、凛はそういう人だもん。



私は凛から体を離してまっすぐ目を見つめた。



「私、やっぱり女の子の友達欲しい。

朱莉ちゃんと、もっと仲良くなりたい」



この気持ちだけは譲れない。



たとえ凛のお願いであっても。



「………絶対、あいつじゃねーとダメなのか?」



「うん」



私がそう言い切ると、凛は大きくため息をついた。



「…だ、そーだ。

どーするよ?」



…え?



なに?



なんのことかわからずに、はてなマークを浮かべていると…



シャッ



凛がベッドの周りのカーテンを開け放った。



そしてそこにいたのは…



「あ、朱莉ちゃん…⁉︎」



カーテンの外にいたのは紛れもなく、今話題になってた張本人。



中央のテーブルと一緒に置かれた椅子に腰掛けてる。



もしかして…もしかしなくても…今の話、全部聞かれてた…よね⁉︎



「あっ…あのね、これは、その…」



もうっ、凛のイジワル…!


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