独り占めしても、いいですか?
「なんだあれ」



いつのまにか凛が隣に来ていた。



全然気づかなかった…いつのまに…



「わかんない、たぬきとかアライグマだと思う。

列から離れちゃった、凛、行こ?」



「なぁ、ちょっと降りてみねぇ?」



「もう、ダメだよ?

降りられても登って来られないし、怒られちゃう」



「ちぇー、わかったよ…って、うわぁ!?」



「凛!!!」



諦めて立ち上がろうとした凛が足を滑らせた。



凛が危ない!



慌てて凛を助けようと手を伸ばす。



ガシッ



凛の手首を掴んだ。



「きゃあぁぁ!」



掴んだものの、凛の落ちる勢いにつられて私も体を引っ張られる。



このままじゃ私も…!



とは思いつつも、私には回避する手立てはなくて…



ズザザザサ…



私と凛は転がり落ちてしまった。


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