独り占めしても、いいですか?
「いってー!」



凛の声が響いた。



私は…あれ?あんまり痛くない?



ゆっくり目を開けると、私は凛の上に倒れていた。



「うそっ、ごめんね、凛!」



私を庇って落ちた凛は傷だらけ。



「いいって、女を守るのは男の役目だって父ちゃんが言ってた!」



私とそんなに背丈も変わらないのに、何故かすごく、大きくたくましく見えた。



「ちょっと、大丈夫!?

凛君、日和ちゃん!」



先生の声が聞こえた。



上を見上げると、みんなが私達を覗き込んでいる。



私も凛も泥だらけ。



ちょっと恥ずかしい…



すぐに先生が助け出してくれた。



パンッパンッと服の土を払う。



「泥だらけで何いちゃついてた」



透がうらめしそうに凛を見た。



「どこをどうみたらそう見えるんだよ!」



「プッ…あははっ」



2人のやりとりっていつ見ても面白い。


< 652 / 721 >

この作品をシェア

pagetop