独り占めしても、いいですか?
私があたふたしていると、朱莉ちゃんがスッと立ち上がった。



そのまま私の方に来てくれるのかと思ったら…



あれ?



朱莉ちゃんは私から目線を外して、ドアの方を向いた。



「雛咲…さん」



「はい…」



ただならぬ空気に、私の声も硬くなる。



『雛咲』か…



しかも『さん』付け…



さっきは『日和』って呼んでくれたのにな…



「もう…私達、友達やめよ…」



「えっ……?」



そのまま、朱莉ちゃんはスタスタと歩いてドアの方へ。



ガラガラ…と音を立てて、廊下へ出て行った。



取り残された私の頭の中で、朱莉ちゃんの言葉がリピートされる。



友達をやめるって…なんで…?



どうして、そんな急に…



私、何かしちゃったの…?



もしかして、私が弱いから…?



倒れちゃったから、めんどうくさいって思われた…?


< 66 / 721 >

この作品をシェア

pagetop