独り占めしても、いいですか?
でも、私は少しだけつまらなくなった。



男の子には男の子同士にしかできないことがあって、男の子同士しかわからないことがある。



普段見ているテレビも違えば、興味のあるおもちゃも違う。



週末お父さんとキャッチボールしたとか、釣りに行ったとか…



私にはわからない話ばかり。



私は話を聞くだけのことが多くなった。



秀ちゃんが話を振ってくれても、凛の手によって一瞬で話が終わる。



少しイラっともするけど、そこは大人の対応で耐えた。



でも、そのイラっが伝わったのかもしれない。



私と凛の間には少しだけ、見えない亀裂が入ってきたような気がする。



露骨にぶつかりあったわけじゃないし、冷たくされたわけでもない。



むしろ今だって凛のことは大好きだし、凛も私のこと大好きだと思う。



けど、なんとなく…ほんの少しだけ、目を見てくれる回数が少なくなった。



気のせいかもしれないけど。



それでもいつも一緒にいてくれるし、遊びに誘ってくれるのはいつも凛。



だから本当に気のせいかもしれない。



ううん、そう思いたい。



でも、ほんの少しの亀裂が気になって気になって、私は凛の言動に過剰に反応してしまっていた。



例えば、髪を切ったのに気づかなかっただけでイライラしたり…



他の女の子と話してるのを見ただけでイライラしたり…



本当にささいなことのはずなのに…



こんな自分が嫌にもなっていた。



本当は大好きだし、仲良くしたいのに…


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