独り占めしても、いいですか?
金色のリボンを解き、赤色ストライプの包みを丁寧に広げていく。



中から出て来たのは少しグレーの混ざった黒のマフラー。



「マフラー!ありがとな!」



嬉しそうに凛がマフラーを巻く。



「凛、いつもマフラーしてなかったもんね」



「喉を冷やすのは声に良くない」



「ほんと、お前歌好きだよな〜」



「でも凛ちゃん、すごく似合ってる!」



「ほんと、透センスいいよね。

ってことで、俺からも…」



「え!僕も僕も!」



そう言いながら秀ちゃんと優ちゃんも鞄からゴソゴソと何かを取り出した。



出てきたのはもちろん凛へのプレゼント。



「サンキュー!」



秀ちゃんからは文房具セット、優ちゃんからは靴下。



2人のプレゼントに目を輝かせる凛。



秀ちゃんと優ちゃんまで凛の誕生日知ってたんだ…



知らなかったのは、私だけ。



私1人だけ、何も知らなかった。



「あの…ごめんね、凛。

私凛が誕生日だって知らなくて…

プレゼントが…その、無くてね…

今度のお休みの日に用意するから!」



「んなもん別にいいって!

俺もさっきまで自分の誕生日忘れてたしな!

おめでとうって言ってくれたらそれでじゅーぶんだよ」



「うん…ごめん、おめでとう」



誕生日忘れてたなんて嘘。



だって朝起きたらお母さんに言われるはずだもん。



自分の息子の誕生日を忘れちゃう母親なんていない。


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