独り占めしても、いいですか?
「みんな、ちゃんと僕達の好きなもの買ってくるかなー?」



群れの中に消えて行くみんなを、優ちゃんが背伸びをして見つめる。



「うん、大丈夫だよ。

秀ちゃんがいるもん」



「そうだね!

秀ちゃん、みんなの好きなもの何でも知ってるもんね!」



そう言って笑いかける優ちゃんの後ろで、気になるものを見つけた。



あれは…朱莉ちゃん?



ゴミ箱の前に立って何かしてる。



手に持ってるのは…お弁当?



「……ダメッ…!」



そう言った時には遅かった。



お弁当の中身は綺麗にゴミ箱の中へ。



せっかくのお弁当…なんで…



「ひよちゃん?」



優ちゃんが私の視線の方に目を向ける。



私の名前が聞こえたからか、朱莉ちゃんが私の方を向いた。



一瞬目が合って、朱莉ちゃんの顔が歪む。



そして一瞬にして私達の前から姿を消した。


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