独り占めしても、いいですか?
「日和、大丈夫?

俺が抱えようか?」



私の歩くペースが遅くなってるのに気づいた秀ちゃんが振り返って尋ねた。



この階段すっごく長いんだよね。



私達1年生だから、1番下の階から上がってこないといけないし…



でもみんなだって同じ階段を登ってるんだし、負担かけられない。



『大丈夫だよ』って秀ちゃんに言おうとすると…



「日和、乗れ」



透が私の目の前に屈んで見せ、おんぶの合図をした。



「えっ…いいよっ、大丈夫だよ」



顔の前で手をパタパタと振ってみせる。



「いいから」



透が『早く』と言うように、チラッと私の方を振り返った



「でも…

透、私が乗ったら潰れない…?」



私、実は結構重いし…



透はこの中じゃ細い方だし…



透が私を背負って立ち上がれなかったら、私が立ち直れない…


< 77 / 721 >

この作品をシェア

pagetop