独り占めしても、いいですか?
「ねっ、早くご飯食べよっ?」



テンションが上がって言葉が弾む。



「おう、日和のは…これな」



凛から私のパンが入った袋を受け取り、中を覗く。



そう言えば何買ったか知らないんだよね…



「あっ…!いちごクリームの…」



「あんたたち…なんで…」



私の声が遮られた。



私達じゃない、他の誰かの声を聞いて、袋から顔を上げる。



声の主を探して後ろを振り返ると…



「あ、朱莉ちゃん…」



そこにいたのは朱莉ちゃんだった。



私はさっきのこともあって、上手く笑えない。



次に会ったらちゃんと話すって優ちゃんと約束したのに…



その時が突然訪れると、なんだか怖くなって、凛の袖をギュッと握った。



「…はぁ、…私、帰るから。

ここ、好きに使って」



朱莉ちゃんが気まずそうな顔をして、ドアの方へ一歩踏み出した時…


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