独り占めしても、いいですか?
「……私さ、いじめられてんの。

認めたくないけど。

しかも漫画や小説に出てきそうなくらい酷い目にあってる」



「………」



私は何も言えなかった。



さっきの泥だらけのお弁当を見たから。



机に置かれていたお花の意味も、休み時間に朱莉ちゃんがいなくなる意味も、全部知ってしまった。



「…笑っちゃうでしょ?」



「そんなことっ…!」



「あんたは友達がいて、いいね…」



遠い何かを見つめるように笑う。



それだけで、朱莉ちゃんがどれだけ孤独なのかが伝わってくる。



私は朱莉ちゃんに近づき、ギュッと手を握った。



「朱莉ちゃんも、友達だよ…?」



苦しい喉から声を絞り出す。



悲しい気持ちを我慢しながら笑ってみせた。



「私、友達辞めるって言ったよね?」



眉間にしわを寄せて、少し怒ったフリをする朱莉ちゃん。



「でも、私は『うん』って言ってないから」



私がヘヘッと笑ってみせると、



「屁理屈」



と言って朱莉ちゃんはそっぽを向いた。


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