独り占めしても、いいですか?
「じゃあ5人で写真撮ろうか。

誰か暇そうな人に声かけて…」



秀ちゃんが携帯を持って、キョロキョロと辺りを見渡した。



「んなのめんどくせーよ。

自撮りでいいだろ、自撮りで」



「そんなこと言ったって、俺、自撮りできないよ?」



秀ちゃんが携帯を手に困り顔。



助けてあげたいけど、私も自撮りは得意じゃないからちょっと…



「凛ちゃんがやればいいんじゃない?

この中じゃ凛ちゃん、1番写真撮るの上手でしょ?」



優ちゃんが秀ちゃんから携帯を受け取って、凛に差し出した。



それを渋々受け取る凛。



「けど俺、左利きだしな…」



そう言いながら、私と繋いでいる手にチラッと目線をやった。



手が使えない…から一旦離せってことかな…?



そう思って手の力を緩めると、逆に離させないようにギュッと握ってきた。



『え?』と思ったけど、何も言わずにフッと凛の横顔を見る。



凛が私の視線に気づいて、チラッと私を見ると、ニヤッと笑ってウインクをした。


< 9 / 721 >

この作品をシェア

pagetop