親子って?(ママと私・娘と私)
忙しい日々に
そんな事をぼんやり考えながら、
香織は職場へ急いだ。

満員電車に揺られておよそ1時間15分。

化粧品の販売員として働き出して10年。

もともとおしゃれに興味があったし、
人と話すことも嫌いではないので
香織には向いていた。

訪問販売をしているのだが、顧客の数も
多く、成績はいつも上位である。

ターゲットのほとんどは、
自分の母親と同年代の50~60代の
オバサマ達である。

気に入れば気前よく買ってはくれるが、
とにかくわがままで、気分屋が多いので
かなり神経を使う。

仕事を始めた当初は、かなりいじめられたり
怒鳴られたりした事もあった。
それでも、成績をあげることだけに
気持ちを集中させ一生懸命頑張った。

そのお陰で今では顧客もかなりの
数になりその顧客が新しい客を
どんどん紹介してくれるまでに
なっている。

それでも、気は抜けない。

ライバルも多く、厳しい状況なのは
間違いないからだ。

そのためには、たとえどんな悩みが
あっても、一旦事務所の扉を開くと
まるで何事もなかったように
元気一杯

「おはようございまーす。」
と、席に着く。

女ばかりの職場である。
その人間関係も色々大変なのだ。



< 12 / 36 >

この作品をシェア

pagetop