親子って?(ママと私・娘と私)
これまで、

『シングルマザーだから‥』

という理由での不自由だけは
なんとしてもさせたくない!!
‥という思いだけが、
香織の心の支えだった。

『一生懸命働いてまともな生活をする。』
これが何よりも香織の最優先事項だった。
最低限、人並みの生活くらいは
父親のいない晴香にさせてやりたい。

そのために弱音を吐くことだけは決して
してこなかったつもりだ。

もちろん、缶チューハイ片手に声を押し
殺して泣いた夜は数え切れない。

そんな母親の気持ちも知らずに
娘は、気がつくと
‥目の周りを真っ白や真っ黒に
塗りたくり、しわだらけで
薄汚れたブラウス、お尻が半くらい
見えそうになるまで制服のスカートを
まくり上げる‥という奇妙な格好で、
駅前広場の地べたに‥
同じような‥決して爽やか‥
とは言えない仲間たちと意味もなく
座り込むようになっていた。


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