何度でも恋に落ちる
「何かいい感じじゃないですか〜♪」

「本当本当。もう誰がどう見たって初々しいカップルですね」



「……真弓、隼人さん。コソコソ隠れて何してるんですか」



影から覗いていた真弓と隼人に気付いた千夏が2人を見ると、2人はニヤニヤしながら千夏の座っているテーブルの空いている席に座った。



「千夏、大丈夫だよ。絶対脈あるって!今すぐ告っちゃいなよ」

「だから!真弓は気が早いんだってば。まだ知り合って1日だよ?翼にはそんな気ないよ。見てればわかる」



千夏がため息を吐くと隼人が首を振った。




「大丈夫だよ、千夏ちゃん。俺、翼とは中学からの付き合いだけど、アイツがあんな積極的なの初めて見るよ。普段は女の子の前だとポーカーフェイスで無口になるのに」


「え?翼がポーカーフェイス?」


「そう、ポーカーフェイス。合コンとかに連れて行ってやっても女に興味なさそうに座ってるだけなんだよね、アイツ。
だからきっと翼も千夏ちゃんの事、気になってるんだと思うよ」


「…ちょっと待って、隼人。あんたいつ合コンに行ったのよ!?」


「え?あ…あぁまだ真弓と付き合う前だよ!」



お節介のせいで地雷を踏んだ隼人に怒る真弓。


2人の喧嘩は特に珍しくはないので、千夏は聞き流していた。





真弓も隼人さんも、もうこれ以上何も言わないで欲しい。



じゃなきゃ

変な期待をしてしまう…。




でもこの期待を裏切られた時の事を想うと恐くて仕方がない。



だから期待なんかさせないで。




千夏はそう思い、俯いた。
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