何度でも恋に落ちる

3・繋いだ手

翼と出会ってから、気付けば毎日一緒にいる気がする。


友達でも恋人でもない位置にいる関係だけど、今はそばにいられるだけで千夏は満足だった。




「千夏〜持田さーん〜♪」



今日もいつものように食堂で話していた千夏と翼の元に、沢山のパンフレットを持った真弓が駆け寄ってきた。




「真弓、何そのパンフレット」

「明日から夏休みでしょ?だから4人で海行こう♪」

「え?海!?」



真弓が持っていたパンフレットは海の近くにある旅館のパンフレットだった。


既に所々に付箋紙が貼られている。




「隼人さんと2人で行かなくていいの?私達、邪魔でしょ」

「気付いてよ、千夏!あんたと持田さんをくっつける為に企画したんだから!!」



真弓が耳元で叫ぶと、千夏は翼に聞こえてしまわないように真弓の口を押さえた。




「いいね、海。俺、行きたいな」



パンフレットを眺めながら翼が呟く。




「じゃあ決定ね♪隼人にも言っておくから」



真弓は嬉しそうにパンフレットを抱えて、2人の元から去って行った。




「…海やだなぁ。私、泳げないんだよね」

「そうなの?じゃあ浮き輪持って行かないとね」

「てか、ここ何年か海なんて行ってないから水着も浮き輪も持ってないよ」



千夏がため息を吐くと、翼が何かを閃いた。
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