何度でも恋に落ちる
水着と浮き輪を購入した千夏は、そのまま翼のアパートへと向かった。



「最近、翼の家に来てばかりで自分のアパートに帰ってない気がしてきた。…真弓、大丈夫かな?」



千夏は夕飯の支度をしながら呟く。




「隼人がいるから大丈夫じゃないかな?」

「そっか、そうだよね」



千夏は少しでも翼と離れているのが嫌だった。



彼女にはなれなくてもいい。
でもそばにいたかった。




「そうだ、ちー。俺、メシ食ったらバイト行くけど…ちー家に帰る?」

「え?今日バイトだったの?」

「うん、居酒屋のね」



千夏は出来上がった夕飯をテーブルに運ぶと翼を見た。




「…そっか。じゃあ私、食器片付けたら帰るよ」



本当はこのままここで帰りを待っていたい気もするけど、彼女でもないのにそんなワガママを言うのは翼を困らせてしまう。



そう思った千夏がそう呟くと、翼は寂しそうな顔を千夏に向けた。




「ちー…帰っちゃうの?」



縋りつくような子どもの瞳をする翼。
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