何度でも恋に落ちる
慌てて翼が千夏を抱き上げると千夏は苦しそうに水を吐き出した。


翼は千夏の背中をさする。



「ちー大丈夫!?どうしたの!?」

「げほっ…!!足…つった…」

「準備体操しないからだよ。…ちょっと休もうか」



翼は千夏を抱きかかえたまま浮き輪を肩に掛け、浜辺へとあがった。


シートに戻ると焼いていたはずの隼人と真弓の姿がなかった。




「あれ、アイツら何処行ったんだろ?」

「飲み物でも買いに行ったのかな?」



翼は千夏をシートの上に降ろす。




「ちーも喉渇いたでしょ?飲み物買ってくるから待っててね」



翼は千夏の頭を撫でると飲み物を買いに向かった。






翼は優しくて男らしい。


マズいなぁ…

どんどん彼にハマっていく自分がいる。



彼に夢中になる自分が恐くてこの気持ちを止めたくても、もうブレーキなんか利かない。



もう…

自分の心に嘘はつけない。




「翼…」



千夏がそう想っていると、千夏の前に人影が立ちはだかった。


千夏が顔をあげると目の前に男が3人立っていた。




「お姉さん、可愛いね。1人?何処から来たの?」

「え?いや…そのっ…」

「俺ら地元なんだよね。よかったらこの辺案内してあげるよ」



いかにも軽そうな風貌をした男達は千夏の腕を掴む。




「ちょっと…離して!」



千夏が叫ぶと、男達の後ろから低い声が聞こえた。
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