何度でも恋に落ちる
「俺の彼女に何の用かな?」



男達が振り向くと、恐いほどの笑みを浮かべた翼が立っていた。



翼は男達を押し退けると千夏にビーチタオルを掛ける。




「ごめんね、ちー。1人にした俺が悪かったね。足はもう大丈夫?」



翼がわしゃわしゃと千夏の髪を撫でると、男達の1人が翼に向かって呟いた。




「…お前もしかして、持田?」



翼が顔を男に向けると男は口角をあげた。



「やっぱ持田じゃん。お前、まだ地元にいたんだな」

「…あんた誰?」

「忘れたのかよ。テメーに殺され掛けたんだぞ?」



男の言葉に千夏は目を見開く。




「確かまだ中坊の頃だったかな。お前はここいらで喧嘩が強くて有名だったよな。…今はその時の迫力もねぇ腑抜けになってるみてぇだけど」



男が嘲笑うかのように笑うと、翼は鋭く男を睨みつけた。


綺麗な顔立ちの翼が睨むと迫力がある。



睨まれた男達は一瞬ビクッと肩を震わすと、舌打ちをしてその場から立ち去った。




「…翼?どういう事?」



千夏が翼に問うと、翼は無言のまま首を横に振った。
< 30 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop