何度でも恋に落ちる
「絆創膏持ってくるんだった。…真弓にメールして帰ろっかな…」



千夏がボッと赤くなっている足を眺めていると、いきなり後ろから抱き締められた。




「きゃっ……!?」

「ちー、俺だよ」



痴漢かと思った千夏が青ざめながら後ろを振り向くと、肩越しに翼の顔が見えた。



「よかった。いて…。捜したよ」



翼はポンポンと千夏の頭を撫でると、千夏の横に腰を下ろした。




「…翼?怒ってないの?」

「何で俺が怒るの?怒ってるのはちーだろ」



千夏が申し訳なさそうに俯くと、翼は千夏の左手の薬指にトップが飴細工で出来た指輪をはめた。




「今度、ペアリング買いに行こうね」



翼は指輪のついた千夏の手を口元に持ち上げると、ペロッと飴を舐めた。




「翼…。ごめんね、勝手にヤキモチ妬いて勝手に不安になって、勝手に怒ったりして」


「大丈夫だよ。ヤキモチ妬いてくれるなんて嬉しいし、ちーの怒った顔も可愛かったからね」



翼は優しく千夏の頭を撫でる。



「…ねぇ翼。翼にとって私は何?……それにも理由なんてないのかな」



千夏が悲しそうに翼を見つめると、翼は優しく微笑んで千夏の額に額をくっつけた。
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