何度でも恋に落ちる
「わっ!一発で取れた♪さっすが、翼」



取れた金魚をビニール袋に入れて貰った翼は、千夏の目の前に持ち上げた。



「はい、ぴぴ丸だよ」

「違うよ。この子は“つーちゃん”だよ」

「つーちゃん?」

「翼にちなんでつーちゃん。この子がいれば翼がバイトに行ってる間も寂しくないね」



嬉しそうに金魚を見つめている千夏に翼は笑った。




「そういえば、ちーの浴衣の柄もつーちゃんだらけだね」

「えーっ。浴衣の金魚は赤い金魚だからつーちゃんはいないよ」



千夏は首を振ると翼の腕を掴む。




「じゃあつーちゃんのおうちでも買いに行こうか」

「うん♪」




その日、翼の家に帰った2人はリビングに小さな金魚鉢を置いた。


出目金のつーちゃんのおうちの金魚鉢。



つーちゃんはギョロっとした瞳で2人を見つめていた。
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