何度でも恋に落ちる
「コイツは持田 翼(もちだ つばさ)。俺と同い年だから千夏ちゃんより1つ年上ね。大学も俺らと同じだよ。
翼、こちらは俺の彼女の親友の稲葉千夏ちゃん」



隼人に紹介された男は千夏に頭を下げた。


千夏もつられて頭を下げる。




「翼はさ〜こんなにイケメンなのに女の子に免疫がなくてね。彼女もずっといないんだよ。勿体ねぇよな」


「へぇ〜…イケメンって女を取っ替え引っ替えしてるイメージがあるのに、珍しいですね」


「だろ?今時珍しい男だよな」



隼人は翼の背中をバシバシ叩く。

翼は隼人を押し退けると立ち上がった。




「…トイレどこ?」

「え?あぁ、玄関の横のドアがトイレですよ」

「ありがとう」



翼は千夏にぺこりと頭を下げると、トイレへと向かった。




「翼の奴、照れやがって」

「隼人がイジリ過ぎなんだよ。持田さんの事バシバシ叩くし」



真弓は隼人の頬をつねる。




「それより千夏ちゃん、翼どう?あいつはいい奴だよ」

「どうって言われても、まだまともに話してないし。カッコいいとは思いますけど」

「えーっ。隼人の方がカッコいいよ♪」



真弓と隼人がじゃれ合っているのを見て千夏がため息をつくと、翼がいるトイレから『ゴンッ!!!!』という凄い音が聞こえた。



「翼?どうした!?何、今の音!?」

「…柱に頭打った…」



翼は額をさすりながらリビングに戻ってきた。



どうやら無駄に背の高い翼は、屈まないとドアに頭をぶつけてしまうらしい。
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