何度でも恋に落ちる
千夏が向かった先は翼のアパート。



「翼っ!!」

「ん?ちー、どうしたの?」



靴を脱ぎ捨てドカドカと部屋にあがった千夏は、ソファに座ってテレビを観ていた翼の前に立つ。




「隼人さんの家教えて。もしくは今すぐここに呼んで」

「え?隼人?」

「そう隼人!早くして!!」



怒りを露わにしている千夏の気迫に負けた翼は、隼人に電話を掛けた。


千夏は通話口に耳を寄せる。




「もしもし、隼人?お前今時間ある?」

「…いや、今はちょっと…」

「橋本さんといるの?」

「……………あぁ」



隼人が嘘をついている事がわかった千夏は翼から携帯を奪い取ると、電話の向こうにいる隼人に怒鳴った。




「嘘ついてんじゃないわよ!真弓から全て聞いたんだからね!!この浮気男!!」

「えっ!?千夏ちゃん?」



いきなり千夏が出た事に驚いた隼人は声が裏返る。




「…ちー。浮気って何?」

「隼人さんに聞いて」



千夏は翼に携帯を返すとソファの上に寝そべった。




「…隼人、浮気って何だよ。お前には橋本さんがいるだろ?」


「……翼。やっぱり今からそっち行くわ。千夏ちゃんに帰らないでって言っておいてくれ」



隼人はそう言うと通話を切った。
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