何度でも恋に落ちる
「隼人、お前が誰とどう付き合おうがお前の自由だ。だけど、橋本さんにその気がなくなったのなら、別れてやるのが優しさなんじゃねぇの?
そうしてやらないと橋本さんは隼人を諦めたくても、新しい恋をしたくても何も出来ないままだろ」



翼の言葉を聞き押し黙る隼人を見て千夏は口を開いた。




「…隼人さん。真弓と別れる気がないのなら浮気なんかもうしないで。…馴れ合いとか新鮮さとか、そんなものより大切なものがあるでしょ?
隼人さんは真弓といて…幸せだったでしょ」


「千夏ちゃん、俺は真弓とやってけるのかな?」


「それは隼人さんと真弓次第だよ。…でも、2人には私と翼がいるでしょ?1人で悩む事なんかないよ」


「…ありがとう、千夏ちゃん」



隼人は珈琲を一口啜ると立ち上がった。




「真弓にちゃんと謝ってくるよ。…悪いな、巻き込んじまって」

「俺らに謝る事はない。早く行ってあげな」



翼にポンと背中を押された隼人は、翼と千夏に軽く頭を下げると走って真弓の元へと向かった。




「隼人と橋本さん、仲直り出来るといいね」



隼人の背中を見送った翼が千夏に視線を落とすと、千夏は俯いていた。




「ちー?どうしたの?」


「…私達を結び付けてくれたのは真弓達だから、2人が別れちゃったら私達も終わっちゃうのかなって思って…」


「そんなワケないだろ」



翼は千夏の頭を撫でると優しく微笑んだ。
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