何度でも恋に落ちる
ねぇ翼。
傷付くくらいなら
寂しさに支配されてしまうのなら
別れた方がラクだと思ってた。
でもそれは違ったよね。
どんなに辛くても、2人でなら乗り越えられたのかもしれない。
だって今、私1人じゃ翼がいない寂しさを乗り越えられないよ。
どうして別れるなんて言ったのか
翼を手放してしまったのか
冷静になった今ならわかるよ。
私は翼が好きすぎて苦しかった。
翼が私から離れてしまうのが嫌だった。
だから私が離れた。
狡くてごめんね。
弱くてごめんね。
自分ばかり大切にしてごめんなさい…。
千夏が部屋のベッドの上で物思いに耽っていると、携帯が鳴った。
携帯を開くとディスプレイには翼からの着信が記されていた。
一瞬、出ようか出まいか悩んだ千夏は通話ボタンをゆっくり押した。