何度でも恋に落ちる
「私ね、厄介な事になるのなら傷付くくらいなら好きな人や彼氏の過去や隠し事は知らない方がいいと思ってた。

でもね、翼の事は全て知りたい。

そばにいたいから、理解してあげたいから全てを知りたいよ」




俺もだよ、ちー。


ちーの事は全て知りたい。








俺の過去を知ってもそばにいてくれる優しい、ちー。


金魚につーちゃんと名付けた可愛い、ちー。


ココアが好きな女の子らしい、ちー。


俺の為に自分を傷付けてしまうバカな、ちー。


すぐに不安になる弱虫な、ちー。




よく人は、一気に燃え上がった恋は冷めてしまうのも早いというけれど


俺の恋心はちーを知れば知る程、熱を増していく。




水を掛けたって消えない程に燃え上がっていくんだよ。




きっと冷める事はない。


だから不安がる事なんてないんだよ、ちー。





言葉では伝わらないのなら何度でも抱き締めるから…

ちーはずっと笑っていて?




例えどんなに離れていたって、この気持ちは変わらないから。




そう思って留学したのに…


俺は自分が思っていたよりずっと弱虫だった。




ちーがいない日々に慣れる事もなければ、寂しさを感じたまま外国の生活に慣れる事もない。



そんな孤独感に襲われた俺は、精神的に病み始めた。





ちーがいない。
ちーの声が聞こえない。
ちーの匂いがしない。
ちーのぬくもりを感じない。




寂しいのは俺だけじゃない。

ちーだって同じはずだ。


だから俺が負けたらいけない。






そう思えば思う程、余計に虚しさや寂しさを感じた俺は、何が何だかわからなくなってしまった。
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