物理に恋して

「秋野、おはよう!ひさしぶり」

「おはよう、ひさしぶりだね!学校で会わなかったもんね」


隣の委員長に向き直す。


「夏休み中、祖父母の家に帰ってたんだ」

「そうだったんだ。どこなの?」

「北海道。あ、これおみやげ」


そう言って委員長は微笑むと、紙袋を私に渡した。


「いいの?」

「どうぞ」

「ありがと。ごめんね、わたしどこも行ってなくて。」

「あれ、布川の花火とか行かなかったの?」

「あ、うん、少し見たけど…」


花火大会の話をしてるのに、なぜか先生のベランダやシャツやベッドが思い浮かんで、一気に熱くなるのを感じ、必死にかき消す。
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