物理に恋して
「2学期かー、修学旅行一緒に回りたいね」
「だねだね、クラスごとかな?クラスごちゃまぜにしてほしいー」
「明日先生に聞いてみよ」
ふたりの切り替えの早さに戸惑いつつ、
…修学旅行か、先生と行きたかったな。
そんなことを思う。
…先生、もう、帰ったかな?
遠慮がちに、ちらりと時計を見る。
「あ、じゃ、そろそろ行くね。」
急に、優希ちゃんがわたしに向かってそう言うと、カバンを肩に掛ける。
「え?美月、一緒に帰らないの?」
「なんか用事あるって。ね?」
わたしが返事に困ると優希ちゃんは言って菜摘を促す。
「えーそうなの?じゃまた明日ね。」
そうしてふたりはあっという間に、
一緒に帰っていった。
残されたわたしがばいばい、と手を振る頃には、
ふたりの変わらぬおしゃべりが廊下に響いてた。
優希ちゃんに、いつか、ちゃんと聞いてみたい。