物理に恋して
「先生。あまいもの、苦手?」
そう言って隣の先生を覗き込むと。
「わりと」
そう言うと、視界が陰って、
わたしの唇に一瞬、唇が触れた。
「好き」
一瞬のできごとと、言葉に、わたしは完全に思考回路が飛んで。
すべてのヒューズがオーバーヒートしたみたいに、熱くなって、動けないまま。
ただただ、顔に熱が集中していくのを感じた。
遠くで、部活の掛け声が聞こえる。
先生はいつの間にかソファから離れて、包み紙をデスクのゴミ箱に捨てながら、
「あま」
なんて言ってる。
わたしはさらに甘さを増したような唇の、感触を指で確かめた。