物理に恋して

「秋野さん!」

走ってきた隼人くんは息切れもせず、何食べてるの?とさわやかな笑顔で聞いてくる。

「おーす、隼人ーって全然聞いてねーし」

男子メンバーはすでにあきれ気味に隼人くんを眺めてる。


「ていうか、秋野、誕生日明日だから」

委員長がそう言ってくれて。

「うっそ、マジで?」

「あ、うん」

驚く隼人くんになぜか申し訳ない気持ちになりつつ、頷く。

「マジか。完全フライングしたー!」

テーブルに手をついてがっくりして見せるから、思わず声をかけようとすると。

「でも、一番に言ったってことで!」

隼人くんは一瞬で顔を上げて笑う。

「確かに」

そんな自信満々の顔に、妙に納得してしまう。
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