物理に恋して
「え、ちょっ、と、先生?」

「悪い、つい」

先生の部屋をちらりと見渡すと、見覚えのあるスーツケースだけがポツンと置かれていた。


「先生一人部屋なの?」

「急遽決まったから。西村先生の代わりに入るわけにいかねーし」

「そっかー、いいね。」

「まあ、でも部屋にいることほとんどないから」

「そっか」

.........


沈黙が気まずくて、

「あ、じゃ、わたし行かなきゃ」

ドアに手をかけた瞬間。






ーコンコン






ノックが響いて、思わず固まる。



ー有馬先生いますー?


わたしは、カーペットの床をそっと歩いて、部屋の中へと移動した。


< 138 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop