物理に恋して


ガチャ

「はい、あ、齋藤先生、お疲れ様です」

「お疲れーす、大浴場行きません?」

「いや、今日は部屋のシャワーにしときます」

「あー、今朝から急でしたもんねー。じゃまた見回りのとき声かけますんで」

「お願いします」




心臓も固まるくらい、
息も身体も、じっと固めて、
耳だけを研ぎ澄ませる。



しばらくして、ガチャ、とドアに鍵をかける音がして。



とっさにベッドに隠れたわたしを、先生が引っ張り出した。


「ひゃ」

「今先生たちが風呂行き始めてるからもう少ししてからな」

「うん」


わたしが怖々ドアのほうを見つめると、先生は内側からさらに鍵をかけて、ふっと笑った。

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