物理に恋して
「わたしもさぼろっか?」
菜摘が制服のスカートをひらりと揺らしながらベッドに座る。
「ううん。大丈夫!部屋でおとなしくしてる。清水寺の写真撮ってきて!あと伏見稲荷も」
「送る送る」
「あと、班行動じゃないけど、委員長にもよろしく伝えて」
「了解。明日帰りだし、最後回れるようにゆっくりしなね」
「ありがと」
「元気なったら夜、3人でパーティするからね」
「あ、今日か、忘れてた」
「美月、ぼーっとしすぎ、ちゃんと寝なね」
菜摘はすっと立ち上がると、行くね、と言ってリュックを肩にかける。
いってらっしゃい、と手を振ると、菜摘も手を振り、部屋を出て行った。
“コンコン”
入れ違いで保健の先生が戻ってきてくれた。
「大丈夫?」
「はい」
「坂入先生も心配してたよ。またお昼頃声かけるから、少し寝られそう? 一応お薬も持ってきたけど..」
先生はテキパキとお薬とペットボトルの水を用意してくれて、何かあったら連絡してね、と部屋を後にした。