物理に恋して
カーテンの隙間から朝の眩しい光が差し込む。
今日はクラスごとに観光する日。
時計をちらりと見る。
8:45。
もう、みんな出発したかな。
秘かに楽しみにしていた神社めぐり..
「はぁ、」
小さくため息がもれてしまう。
担任にも迷惑をかけてしまった。
まさか、自分が修学旅行で体調崩すなんて。
先生に知られたら、あきれられるかな、
心配されてしまうかな、
って、また、先生のこと考えてる。
「えーと、」
回らない頭で思考を切り替える。
そうだ、一応、家にも連絡しよう。
携帯を見ると、家族から、友だちから、お誕生日おめでとうのメッセージが届いてた。
菜摘からも、優希ちゃんからも。
「...」
今日が誕生日だなんて、なんだかいろいろありすぎて。
もうとっくに過ぎちゃったような気さえする。
「だめだ..」
たぐり寄せる、先生の匂いに包まれたパーカ。
まだ慣れない首元のネックレス。
こんな状況なのに、また、先生のこと考えて、ひとりにやけてしまう自分が自分で恥ずかしくなり、ベッドに潜り込んだ。