物理に恋して
熱
..コンコン
ノックの音で目が覚める。
ーあ、寝ちゃってたんだ。
コンコン
「..はい」
慌ててベッドから降りて、ドアをそっと開けると、保健の先生が心配そうな顔をして覗いていた。
「秋野さん、寝てた?」
「はい、すみません、いつのまにか..」
きっとボサボサな髪を、慌てて手櫛で整える。
「いいのよいいのよ、起こしちゃってごめんね。体調はどう?」
そう言いながら部屋に入り、まだ頭の働かないぼーっとしているわたしに、テキパキと体温計を出してくれる。
「はい、だいぶ、」
ピピピ
答えるより早く体温計が教えてくれる。
“36.7”
「よかった、だいぶ下がってる」
そして、わたしより先にそう言って、ほっとしてくれる先生に、ただ静かに頷いた。